【7月24日 AFP】国際自動車連盟(FIA)のジャン・トッド(Jean Todt)会長は、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の現世界王者ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)の反人種差別への強い姿勢を称賛する一方で、それに対する賛同の仕方はドライバー全員が自由意思で決めるべきだとの認識を示した。

 メルセデスAMG(Mercedes AMG)のハミルトンは先日、F1界は反人種差別の取り組みにおいて「リーダーシップに欠けている」と痛烈な批判を口にした。トッド会長はAFPとのインタビューで、今週オンラインでじっくり話し合ったという同選手に言及し、「使命感や決意を持つ人のことを、私は大いに尊敬する」と述べた。

 また、FIAが「これまで長い間、多様性や男女平等」の確保に取り組んできていることや、F1が多様性をもたらすために立ち上げたイニシアチブ「We Race As One」の基金に100万ドル(約1億600万円)を超える寄付を行っていることも指摘した。

 同イニシアチブはF1のチェイス・キャリー(Chase Carey)最高経営責任者(CEO)によって6月に立ち上げられ、CEOも自身の資産100万ドルを投入した。しかし、F1で唯一の黒人ドライバーであるハミルトンは今週、この運動はシーズン前に立ち上げられて以来まったく進展しておらず、まとまりに欠けていると批判した。

 19日に開催されたハンガリーGP(Hungarian Grand Prix 2020)ではレース前の抗議行動が慌ただしく行われ、何人かの選手が膝をついた一方で、立ったままだったり、遅れて来たり姿を見せなかったりした選手もいたことから、ハミルトンはキャリーCEOとトッド会長にメールを送ると話していた。

 トッド会長は、モータースポーツ界において不平等や人種差別に抗議するためのプラットフォームを喜んで提供するとしながらも、そうしたデモは「政治と無関係」で行われる必要があり、それに参加するかどうかは個人の自由でなければならないと主張した。

「膝をつきたい人もいれば、同じ信条であっても同じやり方で表現することを望まない人もいる」「やり方は自由だ。それが民主主義であり、われわれは(それらの原則を)必ず尊重するようにしなくてはならない」 (c)AFP/Nina LARSON