■命を絶つ船員も

 この試練は多くの船員らの心の健康にも大きな打撃を与えている。自らの命を絶った船員の報告もあった。

 米沿岸警備隊によると、5月にフロリダ州沖に停泊したクルーズ船「スカーレット・レディー(Scarlet Lady)」のフィリピン人船員が、「自傷とみられる」行為で死亡した。

 精神的重圧は、家で帰りを待つ家族らにものしかかっている。

 インド南部の港湾都市コチ(Kochi)出身のプリヤムバダ・バサンス(Priyamvada Basanth)さんは、香港の会社が所有する船で8か月間、海に出たままの夫といつ会えるのか、分からないでいる。

「政府は何もしようとしない」とバサンスさんは言う。「ただ帰って来てほしいのです」

 英国を拠点とする船員支援グループのフィリピン事務所を運営するララ・トレンティノ(Lala Tolentino)さんは、3月以降、船に閉じ込められた船員らから助けを求める声が「数百件」寄せられていると語った。

 ヒマラヤ山脈(Himalayas)の丘陵地帯のインド北部デラドゥーン(Dehradun)出身のドゥセージャさんにとっては、この試練の終わりは間近だ。

 ドゥセージャさんは先ごろ、ワッツアップでAFPに「まだ船上です」とメッセージを送ってきた。「でも精神的には、ほんの少しだけ良くなっている。というのも、8月半ばにはついに下船できると言われたのです」(c)AFP/Cecil Morella, with Aishwarya Kumar in New Delhi