■進まない子どもたちの帰国

 ISの戦闘員の帰国について、チュニジア国内では強硬に反対する声も多い。しかし、同国のカイス・サイード(Kais Saied)大統領は1月、リビアから6人の孤児を連れ帰り、家族に希望を与えた。同大統領は他の子どもの「帰国を加速させる」ことを約束したが、それ以降、帰国した子どもはいない。

 中流家庭で育ったタヒアさんの息子は、ケルアン(Kairouan)中部からシリアに向かった最初の一団の一人だった。

 家族によると、息子はISが一時首都と称していたラッカ(Raqa)でレストランを開いていたが、2018年末に逃げようとした時に殺されたという。

 下の息子は「子どもたちの世話を頼まれた」と話す。下の息子自身も兄の子どもたちを連れ帰ろうとしてトルコに2度出向いたが、失敗に終わっている。

 タヒアさんは「インターネットがつながる時は2、3日に一度、孫たちと話している。ただ、ここ数か月は連絡がない」と話す。「これまで抱きしめてあげたこともない」

 チュニジア外務省の職員らは子どもを帰国させる「意思はある」とし、議論が停滞しているのは、諸外国の当局の対応や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の発生が原因だとしている。

 シリア北東部のクルド人自治区の外交担当者は、チュニジア政府から帰国に関する連絡はなかったとしている。(c)AFP/Caroline Nelly Perrot