【7月25日 東方新報】中国にかつて食用として持ち込まれた外来生物・福寿螺(ジャンボタニシ)が、雲南省(Yunnan)大理市(Dali)の蒼山洱海国家級自然保護区に含まれる淡水湖・ジ海(Erhai Lake)に侵入し繁殖しているという。ジ海の岸辺のヨシや石ころなどいたるところに、ジャンボタニシのピンク色の卵がびっしりと産みつけられており、このまま放置すれば生態系を破壊しかねない状況だ。大理市当局はこのほどジャンボタニシ掃討作戦を発動。専門の清掃員を投入するだけでなく、市の職員、環境生態保護に関心を寄せる多くの市民を総動員でジャンボタニシから洱海を守る「人民戦争」を展開中だ。

 ジャンボタニシの俗称で知られるスクミリンゴガイはもともと中米の熱帯、亜熱帯地方に生息しているが、その大食漢ぶりと繁殖力で、世界各国で外来生物として定着しており、地元の湿地生態系や農業生態系を破壊している。中国では1981年に食用として広東省(Guangdong)に持ち込まれ、福寿螺の名前で流通していた。ただし、加熱の不十分なままで食べると寄生虫による感染症をおこし、死者も出している。このことから2003年以降、中国の国家環境保護総局も中国で最初に指定された16種の危険外来生物の一つ入れている。

 ジ海のジャンボタニシ退治に当たっている作業員によれば、すでに何年も前からジ海流域にジャンボタニシは定着していたという。もともと洱海にはバイ貝、コブタニシなどの3種類しか生息していなかった。ジャンボタニシは夏が繁殖期で、1回に200から1000の卵の塊を産卵。いつのまにか洱海にわが物顔ではびこっていた。

 今年はジ海の水位が下降したせいもあって、肉眼で見ても、異様な繁殖ぶりで、これ以上増えると洱海の生態バランスは破壊されて戻らない可能性もあるという。

 大理市政府は今月4日、ジ海でのジャンボタニシ退治の全面展開を通達、「これはジャンボタニシ全滅のための『人民戦争』だ」と市民の動員も呼び掛けた。全市職員と市民も参加してローラー作戦でジャンボタニシの卵の除去に当たっている。大理市政府は、ジャンボタニシの卵キロあたり40元(約612円)を支払う。だが、自然保護区なので殺虫剤や化学薬品、機械なども使えず手作業でしか行えないので、簡単ではない。

 1日約450人の専門作業員を投入し、約一週間で400キロ以上のジャンボタニシの卵が集められ、焼却処理されたが、すぐにまた同じところに卵が産みつけられるという。ジャンボタニシの成体は、日中は泥の中にもぐっており、生体を退治するのが非常に困難だからだ。人民が勝つか、ジャンボタニシが卵を産み続けるか、「持久戦」の様相となっている。大理市としては、2020年11月まで、この「持久戦」を戦い続け、最後は人民の勝利によってジ海の生態を守り抜きたいとしている。(c)東方新報/AFPBB News