【7月22日 AFP】新型コロナウイルス感染症の患者が放出するマイクロ飛沫(ひまつ)にウイルスが浮遊している可能性があることは、数か月前から専門家らは認識していた。しかし、これらの飛沫によって感染が起きるのかどうかは、これまで証明されてこなかった。

 査読前の医学論文を掲載しているウェブサイト「medrxiv.org」で今週、米ネブラスカ大学(University of Nebraska)の科学者らによる新たな研究論文が公開され、それによると5マイクロメートル未満と定義されているマイクロ飛沫から採取された新型コロナウイルスが、一定の条件下で複製可能であることが初めて証明されたという。

 論文によると、科学者らはベッドで治療を受けているコロナ患者がいる五つの部屋で、ベッドの脚から約30センチの高さの空気サンプルを採取。

 ネブラスカ大学医学センター(University of Nebraska Medical Center)のジョシュア・サンタルピア(Joshua Santarpia)准教授によると、サンプル採取は「実際かなり難しい」といい、研究チームは携帯電話サイズの機器を使用したが、「一般的に濃度は非常に低く、物質を回収できる見込みは低い」という。

 研究チームは何とか直径1マイクロメートルほどの飛沫を採取。これらのサンプルを培養基に入れたところ、18サンプルのうち3サンプルが増殖可能であることが分かった。

 この結果は、せきやくしゃみだけでなく、通常の会話や呼吸も感染拡大の原因となるとの説や、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)で定められている2メートルよりもはるかに長い距離をウイルスが移動できるという説を後押ししている。

 これらの結果は暫定的なものとみられ、より信頼性の高い論文審査を受けた専門誌にはまだ掲載されていない。(c)AFP/Ivan Couronne