■年間約5兆円の損失

 外出制限中、騒音はパリ全体で劇的に減少した。

 一部地域では外出制限期間中に環境騒音公害が90%も減少したところもあると、都市の騒音公害の測定を実施している組織「ブリュイパリフ(BruitParif)」の幹部ファニー・ミエットリキ(Fanny Mietlicki)氏は指摘した。同氏はAFPに「前例のない状況が、長期間にわたり続いた」と語った。

 2011年の欧州委員会(EC)の報告書によると、自動車と列車による騒音公害だけでも、健康の悪化、生産性の損失やその他影響により、欧州連合(EU)に年間約400億ユーロ(約5兆円)の損失をもたらしている。

 欧州環境庁の環境騒音専門家ユーラリア・ペリス(Eulalia Peris)氏は、騒音は大気汚染と比較して「生活の質(QOL)関連指標やメンタルヘルス、幸福や健康に大きな影響を与えていると思われる」と述べた。

 WHOとノルウェーを拠点とする産業科学技術研究所(SINTEF)がまとめた2017年の研究報告書で、パリは世界で3番目に騒音公害がひどい都市だった。さらにこの研究では、都市の騒音公害と難聴の間に密接な統計的関連性があることが明らかになっている。

 シャレア氏と共同研究者らは、今夏の終わり頃にデータセット論文を発表する予定。現在は騒音公害レベルを前年比で評価するため、プロジェクトを2021年まで延長するための資金を集めている。(c)AFP/Phineas RUECKERT