【7月23日 AFP】米シカゴのオールドタウン(Old Town)で7月中旬、走行中の車から発砲された銃弾が、生後5か月の男児の頭をかすめた。男児は軽傷を負い、子どもを抱いていた男性と一緒にいた別の男性が負傷した。

 米国は新型コロナウイルスの流行で既に大きなダメージを受けているが、ここ最近になって、銃撃事件がこれに追い打ちをかけるように増えている。シカゴでは6月下旬にも走行中の車からの発砲で1歳児が死亡、母親が負傷する事件が起きていた。また今月12日には、ニューヨーク・ブルックリン(Brooklyn)でバーベキューパーティーが狙われ、ベビーカーに乗っていた1歳児が死亡、男性2人が負傷している。

 銃撃事件が急増している背景には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)による社会的・経済的苦境、アフリカ系住民に対する暴力への批判で動きが鈍くなっている警察、夏の陽気で増えた外出機会、ソーシャルメディアを通じてあおられるギャング間の抗争といった要因がある。

 米紙シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)は、シカゴ市で年初から7月13日までに銃撃された人の数が昨年の約550人から1901人へと跳ね上がり、死者も97人から373人と大幅に増えたと報じている。またニューヨークでも同時期、銃撃された人は795人に上り、死者も200人を記録した。こちらも昨年よりも大きく増えているという。7月4日の独立記念日の週末には、ストリートパーティーやバーベキューを楽しむグループへの発砲が全米で相次いだ。

■ソーシャルメディアで憎しみ増幅

 加害者も被害者もその多くはアフリカ系の若者で、個人的な恨みや麻薬売買の縄張り争いを抱えた小グループやミニギャングのメンバーであることが多いという。シカゴにはそうしたグループが数百存在しているが、小さいグループになるとメンバーは5~10人とかなり小規模で、抗争を監視したり和解を促したりすることは不可能に近いと警察は話す。

 そして、こうした事件の多くは、写真・動画共有アプリ「スナップチャット(Snapchat)」での暴言や挑発によって始まるという。シカゴの牧師コーリー・ブルックス(Corey Brooks)氏は、このようなグループは相手を脅迫するヒップホップの動画を作って投稿し、それが致命的な攻撃にまで発展すると説明した。