■最初期の生命

 科学者らはまた、より根本的な疑問についても考えている──もし火星に生命が一度も存在していなかったとしたら、それはどうしてだろうか──という疑問だ。

 この疑問に対する答えは、地球上での生命の発達についての理解を深めることにつながる可能性があると、欧州宇宙機関(ESA)の広報担当ホルヘ・バゴ(Jorge Vago)氏は指摘する。

 地球では、地表の岩盤(プレート)が地球の中心方向に沈み込んでいくプレート・テクトニクスのせいで、35億年前より以前の生命の痕跡を見つけるのが極めて困難になっている。

 しかし、火星にはこの構造プレートがない。そのため、「地球上では決して見つからないであろう」40億年前の生命の痕跡が保存されている可能性があると、バゴ氏は説明する。

 もし火星で「古代生命」の痕跡を見つけることができなくても、探査すべき場所はまだ他に残されている。その有力候補となっているのが土星の衛星エンケラドス(Enceladus)と木星の衛星エウロパ(Europa)だ。

 ただ大きな問題が一つある。それは、これらの衛星を探査する能力が、まだサイエンスフィクションの域を出ていないということだ。(c)AFP/Kelly MACNAMARA / Juliette COLLEN