【7月30日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受け、3月からロックダウン(都市封鎖)が実施されている南米コロンビア。アルベルト・ゴメス(Alberto Gomez)さん(72)は、自らが創設した植物園にこもり、植物の世話に専念することにした。

 コロンビアは生物多様性に富む国の一つ。40年以上前、アンデス(Andes)山麓のキンディオ(Quindio)県北東部に植物園を造ったゴメスさんは、「生物多様性が豊かな14ヘクタールの森に引きこもっていると、パンデミックによる外出制限に耐えるのも楽でした」とAFPに語った。

 首都ボゴタに暮らす家族とは遠く離れ、従業員30人は自宅にこもっているため、ゴメスさんは生涯をかけて手掛けてきた植物園がアンデスの森にのみ込まれないよう孤軍奮闘している。植物園の再開に備え、庭師、警備員、清掃係、管理人の役を一人で担わなければならない。

 ゴメスさんはまず、従業員の給与を確保するために銀行へ足を運んだ。後にソーシャルメディアでも支援を募ったという。キャンペーンの一環として、「キンディオ植物園のSOS」と題した動画を製作。その中で木の購入を呼び掛け、植物や区画のスポンサーや寄付を募った。

 近くの農地では従業員らが37種、計37万株の植物を育てていた。ゴメスさんはこの売り上げから給与を支払うことができた。

 植物園にあるのは、珍しいランやアナナス、ゲッケイジュや水生植物、薬用植物などだけではない。地質や土壌に関する博物館や昆虫園、チョウの庭、資料館、講堂や映画館もある。

 植物園に観光客が戻ってくるのを待つゴメスさんの頭の中は、企画案であふれている。「この庭で禁じられていることはただ一つ、夢を見るのをやめることだけです」とゴメスさんは言った。(c)AFP/Lina VANEGAS