【3月4日 AFP】植物学者のフリオ・ベタンクール(Julio Betancur)氏(59)はこの30年間、地雷原に足を踏み入れたり、麻薬密売業者や武装集団がはびこるジャングルに分け入ったりして、コロンビアの豊かな生物多様性について記録してきた。

 動植物の種の多様さでは、コロンビアはブラジルに次いで世界で2番目だ。ベタンクール氏はノート1冊と枝切りばさみのみを携えて、とてつもない危険を冒しながら植物採取を行ってきた。コロンビア国立大学(National University of Colombia)の植物標本室にある標本60万点のうち4%は、同氏が集めたものだ。

 危機一髪で難を逃れたことは何度もあり、ジャングルで麻薬の運び屋と鉢合わせするという「やや荒々しい」遭遇もあった。

 地雷原に入り込んでしまった時には、地元の農民らが助けてくれた。「彼らがいなかったら、今ここで話をしていないだろう」とベタンクール氏は言う。

 植物学者で大学教授、パイナップル科の植物の収集家でもあるベタンクール氏は、コロンビアが自国の生物多様性について気付くことができるならば、危険を冒す価値はあると話す。

 牧畜に加えて鉱物資源の違法採掘やコカの栽培によっても進んでいる森林伐採は、コロンビアのジャングルに計り知れない損害を与えてきた。

 違法コカ農園の総面積16万9000ヘクタールのうち約5%は自然保護区内にある。また環境に有害な技術を用いた金の違法採掘は、ドイツの首都ベルリン市の面積よりも広い9万8000ヘクタールにわたって行われている。

 公式報告によると2010年以降、伐採されたコロンビアのジャングルは100万ヘクタール以上に及んでいる。