【7月16日 AFP】バングラデシュの警察当局は15日、新型コロナウイルス検査で陰性だったと証明する偽の書類を6000人以上に発行した疑いで、指名手配していた病院経営者の男を隣国インドに逃亡する直前に逮捕したと発表した。容疑者はイスラム教徒の女性が着用する「ブルカ」を着て、インドとの国境の川岸にいたところを拘束されたという。

 モハマド・シャヘド(Mohammad Shahed)容疑者(42)は経営する2つの病院で、検査を行わずに陰性証明書を発行していたとされる。同容疑者は9日間にわたって逃走を続けていた。

 新型コロナ陰性の偽装証明書をめぐっては、ここ数日でシャヘド容疑者の他に10人以上が逮捕されている。

 警察によると、シャヘド容疑者の病院では1万500件の新型ウイルス検査が行われたとされているが、うち実際に検査したのは4200件で、残る6300件は未検査にもかかわらず検査結果証明書を渡していたという。

 また、首都ダッカにある容疑者の病院は新型コロナウイルスについては無料診療を提供することで政府と合意していながら、検査結果証明書の発行手数料と治療費を請求していた疑いも掛けられている。

 専門家らは、医療機関が発行する証明書の信頼性を損ない、国内の新型コロナ危機を悪化させる事件だと懸念を強めている。同国ではこれまでに約19万3000人が感染し、2457人が死亡した。

 バングラデシュ経済は、海外で働く出稼ぎ労働者の外貨収入に大きく頼っている。だが、移民労働者の権利団体OKUPによると、ダッカからイタリアに渡航したバングラデシュ人労働者が現地での検査で陽性と診断される事例が相次ぎ、うち複数が「陰性証明書」を携行していたとされる。OKUPは「海外の雇用市場のため、政府は国内各地の研究施設で行われる検査の品質を保証しなければならない」と主張している。(c)AFP