■強大な敵

 支持者らは、ボロンツォフ氏は警察の上層部に敵をつくり、同氏の活動に携わった複数の高官が失職したと考えている。

 ボロンツォフ氏には逮捕後、ポルノの製造と配布を含め、さらに3件の容疑がかけられた。モスクワの裁判所は7月上旬、公判前勾留で2か月を過ごした同氏の勾留期間を8月上旬まで延長した。同氏は不正行為を否定している。
 
 一部にとって、ボロンツォフ氏の取り組みは政府への反対意見を表明するまれな機会だったと、ある元警察官は匿名を条件にAFPに語った。警察内部にプーチン氏に反感を抱く人は「たくさんいる」という。

 警察は、軍および治安部隊とともに、プーチン政権の屋台骨を形成している。

「法執行機関の忠誠を保ち続けることは、当局にとって非常に重要だ」と、人権団体「メモリアル(Memorial)」で政治犯への支援プログラムを展開するセルゲイ・ダビディス(Sergei Davidis)氏は述べる。

 ボロンツォフ氏はここ数か月で、反政府活動家らと緊密な関係を築いていた。同氏の逮捕を受け、プーチン政権批判の急先鋒(せんぽう)であるアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏らは、警察官らに圧力を緩めないよう呼び掛けた。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO