【7月16日 CNS】中国の上海中医薬大学(Shanghai University Traditional Chinese Medicine)と上海交通大学(Shanghai Jiaotong University)医学部は4日、中国漢方医学と西洋医学のイノベーション研究センターを共同設立したと発表した。伝統医学と最先端の現代医学を結合し、新しい治療法や新薬の開発に力を入れる。

 研究センターの学術委員会主任には、中国科学院院士の陳凱先(Chen Kaixian)さんが就任。上海中医薬大学党委書記の曹錫康(Cao Xikang)さんは「伝統医学の思想に基づき現代医学の診療・治療法をより良いものにし、ならびに現代医学の理論に基づき伝統医学の処方を分析・体系化していきたい」と話す。

 研究センターでは主に血液疾患や腫瘍などの研究に取り組み、幹細胞や遺伝子、人工知能(AI)といった新しい生命科学の研究分野を結合することで、臨床治療の成果を上げる考え。構想では、5年以内に中国漢方医学と西洋医学を結合した国内トップレベルの研究成果を上げ、10年以内に重大な難病や感染症の防止策を構築することが目標。アジアレベルの研究センターも設立して人材育成を図り、医薬面で産業と教育の統合を促進する。

 上海中医薬大学の徐建光(Xu Jianguang)学長は「中国医学と西洋医学の優れた点を結集し、『ゼロ』から『1』を生み出すことで現代の医学的課題を乗り越えたい」と意欲を示す。

 特定の部位や症状に着目し、手術や投薬により直接の改善を図る西洋医学に対し、中国漢方医学は細胞や臓器は全体としてつながっていると考え、体の不調を根本的に改善していくことを目指す。その中国医学の基本理論を最新のAIやビッグデータを使って分析することで、漢方の新薬開発を推進し、中国医学の現代化を図る。また、研究院では海外の研究機関や優れた専門家との交流や共同研究を進めていく。(c)CNS/JCM/AFPBB News