【7月14日 AFP】中国漁船の冷凍庫からインドネシア人男性船員(20)の遺体が見つかった事件で、中国人船員がこの男性を虐待して死亡させた疑いで逮捕され、インドネシアで裁かれる見通しであることが分かった。警察が13日、明らかにした。

 インドネシア当局は先週、シンガポールからアルゼンチンに向かっていた中国漁船2隻をマラッカ海峡(Malacca Strait)で拿捕(だほ)し、うち1隻からインドネシア人船員の遺体を発見した。4日間の事情聴取の末、ソン・チュアンユン(Song Chuanyun)容疑者を虐待の疑いで逮捕した。

 インドネシア・リアウ(Riau)諸島の捜査関係者は13日、事件は同国領海内で発生したことが捜査で分かったため、ソン容疑者は同国で裁かれるとの見通しを示し、「すべての司法手続きはインドネシアで行われるだろう。虐待に加え、人身売買の罪にも問えるかさらに捜査している」とAFPに語った。

 この捜査関係者によると、この中国漁船では複数のインドネシア人船員が虐待されたり劣悪な環境に置かれたりしていたという。

 インドネシア警察は現在、中国漁船2隻に船員をあっせんしていた国内の人材派遣会社の従業員数人の行方を追っている。

 ソン容疑者はこの漁船で船員の統括者として働き、インドネシア人船員らにたびたび暴力を振るっていた。冷凍庫から遺体で発見された船員も、ソン容疑者から暴力を受けていたという。

 捜査関係者は、「被害者は病気だったが労働を強いられ、殴打された。拷問を受けた後、3日間食べ物を与えられずに放置され、死亡した」と説明している。

 検視の結果、被害者の男性は物で殴打され、体に多数の傷があることが分かったという。(c)AFP