【7月10日 AFP】米軍制服組トップのマーク・ミリー(Mark Milley)統合参謀本部議長は9日、南北戦争(American Civil War)当時の南部連合(Confederate States of America)の指導者にちなんだ米軍基地名の見直しを求める考えを明らかにした。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、米軍基地の名称変更に明確な反対を表明している。

 奴隷制維持を掲げた南部連合の将軍らの名前を冠した米軍基地は現在10か所あるが、黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんの死をきっかけに警察の過剰な力の行使や人種差別に抗議するデモが全米に広がる中、改称を求める声が高まっている。

 ミリー氏は米下院軍事委員会(House Armed Services Committee)の公聴会で証言し、南部連合の軍人の名を基地名に採用したのは「政治的」な判断だったと指摘。従って、基地の改称も政治的に判断しなければならないとの考えを示した。

 また、米軍はマイノリティーの人々が多く所属する組織であり、米軍としては基地の名称が「分断」をもたらすことを懸念していると述べた。ミリー氏によると、該当する10基地に所属する米陸軍兵士の20%は黒人で、一部の部隊では隊員の30%を黒人が占めている。

「基地に赴任する若い兵士たちにとって、フォートフッド(Fort Hood)やフォートブラッグ(Fort Bragg)などの名称は、奴隷制のために戦った将軍を想起させ、自分の先祖も奴隷にされたかもしれないと思わせる恐れがある」とミリー氏は述べた。テキサス州にあるフォートフッド基地の名はジョン・ベル・フッド(John Bell Hood)将軍に、ノースカロライナ州のフォートブラッグ基地はブラクストン・ブラッグ(Braxton Bragg)将軍にそれぞれちなんでいる。

 ミリー氏はさらに「南部連合の旗や像、基地など、あらゆるシンボルにわれわれは厳しい目を向けなければならない」と主張。南北戦争は「反乱だった。当時のユニオン(合衆国)や星条旗、合衆国憲法に対する反逆行為だった」と述べるなど、南部連合の将軍らを厳しい言葉で批判した。(c)AFP