【7月10日 AFP】犬が人間なら何歳に当たるかを知るには犬の年齢に7を掛けるとよいと言われているが、米国立衛生研究所(NIH)は9日、この計算に使う係数は犬が年齢を重ねるにつれて変動することが分かったと発表した。年齢が上がるにつれて変化する犬のゲノムの研究で明らかになったという。

 犬、ヒトなど事実上すべての哺乳類の一生は、誕生、幼年期、若年期、性的成熟期、成熟期、死という変化をたどる。

 これら一生のうちの各段階に対応するDNAの化学的特徴が、遺伝子が生体の表現系にどのような影響を与えるか調べる後生学(エピジェネティクス)という研究分野で明らかにされている。

 後生学はヒトではよく確立されており、DNAのサンプルを送ると「後生学的時計」を読んで生物学的な年齢を調べてくれる民間企業もある。

 DNAの特定の領域に結合しているメチル基という分子が、そのDNA領域のスイッチを「オフ」にして、一生のうちの次の段階への移行を促す。

 米医学誌セル・システムズ(Cell Systems)に掲載された論文の著者の一人、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)のトレイ・アイデッカー(Trey Ideker)氏は、「人の顔を見てしわや白髪などから年齢を判断しがちだが、分子レベルのそのような特徴だ」と説明する。

 アイデッカー氏らの研究チームは、生後数週間から16歳までのラブラドルレトリバー104頭についてゲノムのメチル化の状態を調べ、ヒトのメチル化のパターンと比較した。

 その結果、犬が人間なら何歳に当たるかをよりよく知ることができる数式を見いだした。その数式は

人間に当てはめた年齢 = 16 * ln (犬の実年齢) + 31

 というもの。「ln」(小文字のエルとエヌ)は自然対数を意味し、計算するには関数電卓が必要だがグーグル(Google)でも計算できる。もしあなたの犬が2歳なら、グーグルの検索窓に「16* ln(2)+ 31 」と入力すると、その犬が人間なら42歳に当たることが分かる。

 この数式によると、生後8週間の子犬は人間なら生後9か月に当たり、いずれも幼年期にあることが分かる。

 ラブラドルレトリバーの平均寿命は12年で、人間の平均余命70歳にほぼ対応する。

 研究に参加したNIHのイレーヌ・オストランダー(Elaine Ostrander)氏は、新しい数式はラブラドルレトリバーを念頭に作ったものだが、一般的に体が小さくて寿命が長い犬種や、体が大きくて寿命が短い犬種についても今後研究する可能性もあると述べた。(c)AFP/Issam AHMED