■壊れた内面

 シャハーダさんは責められているように感じている。子どもたちは障害者になった母親のことで、学校でからかわれ、夫は冷淡で怒りっぽくなった。

「世間も周囲も私を責める。『どうして(女性なのに)デモに行ったのか』と」とシャハーダさんはガザ地区でAFPに語った。「夫から離婚され、子どもたちも失った」

「全世界に問いただしたい。強くありたい。だけど、私の内面は壊れてしまった」

 イスラエルに軍事封鎖され、ハマスに支配された人口200万人のガザ地区では2008年、12年そして14年と、イスラエルとの間で3回起こった紛争により、住民らはトラウマになるような傷を負っている。

 しかし、本格的な紛争が起きていない時でさえ、暴力は発生している。2018年3月に始まった、イスラエルに組み込まれた土地の帰還を求める抗議デモ「帰還の大行進(Great March of Return)」ではしばしば暴力行為が発生している。国連(UN)の統計によると、イスラエル軍によって撃たれたパレスチナ人は8000人以上となっている。負傷した部位の80%は下半身で、頭部は3%だ。

 エルサレムでは全面的な紛争は発生していないが、1967年にイスラエルが支配下に置いた東エルサレムの一部地域、シュアファト(Shuafat)やイサウィヤ(Issawiya)などでは緊張が続いている。

 住民らはイスラエル警察による暴力が増加していると不満を漏らすが、イスラエル警察は住民による騒動の増加に対処しているものだと説明している。

 警察は最近、理論的には殺傷力が低いとされるスポンジ弾を使用する。しかし、至近距離で発砲すれば、死に至ることもあると言われている。