■安い相場

 併合計画の詳細は不明だが、併合される土地が将来のパレスチナ国家の一部になることはないというのが大方の見方で、トランプ氏の計画でもそうなっている。

 パレスチナ国家の樹立を目指した1990年代のオスロ合意(Oslo Agreement)以降、ヨルダン川西岸のイスラエル人入植地の人口は3倍以上に増え、45万人に上っている。

 ヨルダン川西岸の入植地には、宗教的あるいは政治的な理由で家を構える人に加えて、イスラエルの不動産市場よりも大幅に安い相場に引き寄せられた多くのイスラエル人がいる。

 イスラエルとパレスチナの境界「グリーンライン(Green Line)」を挟んでヨルダン川西岸にあるアルフェイメナシェ(Alfei Menashe)入植地と、わずか約12キロしか離れていない場所に、クファルサバ(Kfar Saba)がある。

 ワッハさんによると、クファルサバでは敷地面積200平方メートルの全7部屋の集合住宅の価格は450万シェケル(約1億4000万円)前後だ。ところが、アルフェイメナシェへ行けば同様の条件の不動産価格はその約半額になるという。

「併合直後には価格が今よりも10~15%上昇し、今から5、6年後、あるいは7年後には少なくとも30%程度上昇するだろう」

 先月、過去最高の売上高を記録したゼーブ・エプスタイン(Zeev Epstein)さんも、ワッハさんと同じく楽観する。「大きな市場になるだろうから準備し、懸命にこの機会をつかむ必要がある」 (c)AFP/Alexandra Vardi and Claire Gounon