地中海の移民救助船でけんかや自殺未遂、NGOが緊急事態宣言
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【7月4日 AFP】地中海で移民・難民の救助などに取り組む仏NGO「SOSメディテラネ(SOS Mediterranee)」は3日、移民船上で自殺未遂や取っ組み合いのけんかが相次ぎ、複数の移民たちが海に飛び込んだことを受け、緊急事態宣言を発した。安全な港へ直ちに上陸を認めるよう求めている。
移民約180人を乗せた同団体の移民救助船「オーシャン・バイキング号(Ocean Viking)」は、イタリア南部シチリア(Sicily)島南方の地中海上で1週間以上足止めとなっている。安全な港で移民たちを上陸させられるよう、イタリアかマルタから上陸許可が出るのを待機している状態だ。
同団体は、移民や乗組員らの安全をこれ以上保証できないとし、前代未聞の緊急事態を宣言した。乗船しているAFP記者の目撃情報によれば、移民らは陸にたどり着こうとさらに必死になっており、この1週間で緊張が高まっているという。
乗組員のルドビク氏はAFPに対し、移民救助船上でこのような暴力行為はこれまでに見たことがないと述べた。船上では、移民同士での取っ組み合いや自殺すると言う移民が相次いだ。
先月22日に仏マルセイユ(Marseille)から出航したオーシャン・バイキング号は、同25日と30日に4回にわたってリビアから逃れてきた移民たちを救助。パキスタンや北アフリカ、エリトリア、ナイジェリアなどから来た移民の中には、未成年者25人が含まれており、その多くには付き添いの親がいない。また女性も2人おり、うち1人は妊娠している。(c)AFP/Shahzad ABDUL with Alexandria SAGE in Rome