【7月3日 AFP】イラン政府は2日、中部ナタンズ(Natanz)の核施設で「事故」が起きたものの人的被害や放射能汚染はなかったと発表し、イスラエルなど「敵国」の敵対行為に対して警告した。

 原子力庁のベフルーズ・カマルバンディ(Behrouz Kamalvandi)報道官は国営テレビで、事故が起きたのはナタンズの核施設内の倉庫だが「(破損した倉庫内に)核物質はなく、汚染の恐れもない」と発表。事故当時、その場には職員もいなかったと説明した。事故原因は現在調査中としている。

 ナタンズはイランの主要核施設で、ウラン濃縮施設がある。カマルバンディ氏によると、「濃縮施設の操業は中断していない」「操業ペースも変わっていない」という。

 この発表の数時間後、国営イラン通信(IRNA)は「もし敵国が、特にシオニスト政権(イスラエル)や米国が、越えてはならないイランの一線をいかなる形であれ越えるならば、新たな状況に立ち向かうイランの戦略は根本的に再考されなければならない」と警告する論説を発表した。

 イラン原子力庁が公開した事故現場とされる写真には、屋根が破損した平屋の建物が写っている。建物の壁は黒く焼け焦げ、扉は内側から吹き飛ばされたように、ちょうつがいが外れて外側に傾いている。

■原因は不明

 IRNAの報道によると、イスラエルの匿名のソーシャルメディア・アカウントが、イスラエル政府による「破壊行為の試み」だと主張している。

 また、イラン政府が敵対メディアと認識している英BBCペルシャ語放送は、事故の「数時間前」に、「ホームランド・チーターズ(Homeland Cheetahs)」を称するグループから犯行を予告する声明が届いていたと伝えた。声明は、「イラン治安機関内に存在する反体制派」を名乗り、攻撃があったことを否定できないよう「地下以外」の標的を狙うと述べていたという。

 イラン原子力庁は現時点までに、事故原因に関する説明を一切行っていない。(c)AFP