【7月10日 AFP】証券アプリ「ロビンフッド(Robinhood)」で、73万ドル(約7800万円)を失ったと思い込んだ若者が自殺したことで、ミレニアル世代の間で人気を集める同アプリに厳しい目が向けられている。

 米シカゴ在住の証券アナリストで、ロビンフッドでオプション取引を行っていたアレクサンダー・カーンズ(Alexander Kearns)さん(20)は6月12日、自身のロビンフッドの口座残高がマイナス73万ドルとなっているのを見て、自らの命を絶った。

 家族は、実際には口座残高はプラスだったと考えており、ロビンフッドが複雑な取引について十分な説明を行わなかったため、カーンズさんが数字を誤解したと訴えている。

 ロビンフッドはカーンズさんの死について直接のコメントは避けている。だが、同社の手続きに詳しい関係者は6月25日、オプション取引では実際にはプラスでも表示はマイナスになることがあると説明した。

 ロビンフッドの共同創業者であるブラッド・テネブ(Vlad Tenev)氏とバイジュ・バット(Baiju Bhatt)氏はブログに6月19日、「個人的に非常にショックを受けた」と投稿。オプション取引の要件の見直しや教育の充実、アプリの使いやすさの向上を約束した。

 両氏はまた、全米自殺防止財団(American Foundation for Suicide Prevention)に25万ドル(約2700万円)を寄付すると発表した。

 2013年に設立されたロビンフッドは、米金融業界の民主化を掲げ、売買手数料無料をうたっていた。

 同社は5月上旬、新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)によって、新規顧客が急増し、口座数が1300万件となったと発表していた。