【7月3日 AFP】地中海で救助され、イタリア南部シチリア(Sicily)島に今週上陸した移民8人が、新型コロナウイルス検査で陽性と判定され、隔離されていることが分かった。地中海で移民船の動向を見守っているイタリアの団体「メディテラニア(Mediterranea)」が明らかにした。

 陽性と確認されたのは、移民救助船「マーレ・イオニオ(Mare Jonio)」に救助され、1日にシチリアのアウグスタ(Augusta)港に上陸した43人のうちの8人。

 メディテラニアは2日、保健当局が8人に検査の結果が陽性だったと知らせたと発表。8人は同じ船に乗っていた移民や乗組員と共に隔離されており、感染を拡大させるリスクはないとした。

 新型ウイルスに感染した移民に対する懸念が高まっていることを受け、シチリア島南部ノート(Noto)の町長は、移民らは町から約20キロ離れた場所に隔離されていると発表し、不安の払拭(ふっしょく)に努めた。

 しかし、移民が新型ウイルスに感染していたと報じられるやいなや、政治的な批判が起きた。極右政党「同盟(League)」の党首、マッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)氏は、「欧州の他の国々に哀れみの目を向け、人身売買業者はもみ手をしている。わが国の政府はどうか? 黙って寝ている」とフェイスブック(Facebook)に投稿した。

 移民らがリビアを経由して逃れ続けていることを受けて、移民救助船は最近、新型ウイルス危機でほぼ停止していた救助活動を再開した。救助した移民180人を乗せ、入港許可を1週間以上待っている移民救助船「オーシャン・バイキング(Ocean Viking)」は2日、自暴自棄になった移民2人が海に飛び込んだが、直後に救助されたと発表した。(c)AFP