【7月1日 AFP】米ハリウッド(Hollywood)の元大物プロデューサーで、レイプをしたなどとして実刑判決を受けたハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)受刑者に対する集団訴訟で、米ニューヨーク州検事総長は6月30日、被害女性らに合わせて1900万ドル(約20億円)近い和解金が支払われると発表した。

 集団訴訟は現在23年の禁錮刑に服しているワインスタイン受刑者と、同受刑者が所有していた映画会社ワインスタイン・カンパニー(The Weinstein Company)を相手取ったもの。和解金の支払いまでには今後2つの裁判所の承認が必要とされる。

 だが、タレル・ウルフ(Tarale Wulff)さんら複数の被害者の代理人を務めるダグラス・ウィグダー(Douglas Wigdor)弁護士はすぐさま、この和解案を「完全なる裏切り」だと表現し、批判した。

 世間の注目を集めたワインスタイン受刑者の裁判で、バーのホステスだったウルフさんは、2005年にニューヨーク市内の同受刑者のマンションでレイプされたと証言した。

 ウィグダー弁護士はこの和解案について、ワインスタイン受刑者は「自身の行為の責任を全く認めておらず」、支払いに受刑者個人の資産を使う必要が全くない和解金だと批判した。また、これは和解を受け入れたくない被害者らが別の方法で補償を求める可能性を阻むものだとし、法廷で和解案に異議を唱えると述べた。

 今回の検事総長の発表は、昨年12月に合意に至った被害者数十人との和解金250万ドル(約27億円)の支払いに関しては何も言及していない。

 映画『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』などをプロデュースしたワインスタイン受刑者は今年2月、性暴力とレイプで有罪を言い渡され、性的不適切行為の告発運動「#MeToo(私も)」の歴史的勝利となった。(c)AFP