【6月29日 AFP】オーストラリアで、中国による内政干渉をめぐる捜査の一環で家宅捜索を受けた州議員は29日、不正行為はないと否定し、政敵による「政治的リンチ」だと訴えた。

 警察と情報機関職員は26日未明、数か月前から続けてきた外国による政治介入に関する捜査の一環で、ニューサウスウェールズ(New South Wales)州議会のシャケット・モーセルメイン(Shaoquett Moselmane)議員の自宅と事務所を捜索した。

 これを受けてモーセルメイン議員は、自身はこの捜査の「容疑者ではない」と訴え、「悲しいことに、政治的リンチが既に始まっている」と述べて、不正に当たる行為に及んだ事実はないと主張した。

 捜査の詳細は公表されていないが、モーセルメイン氏による中国称賛や度重なる訪中、雇用決定について、同氏が所属する中道左派の野党・労働党内からも疑問視する声が上がっており、同氏の党員資格を停止する手続きが進められている。

 モーセルメイン氏は訪中の理由について、その大半が孤児らに車いすを届けるといった事業のためだったと説明している。

 同氏は「この捜査は、ある外国政府、具体的に言えば中国共産党を利するために行動していたとされる他の人々に関係している」と述べた。

 また同氏はメディア批判も展開。捜査には協力するが、「あらゆる市民に認められているように、法的助言を仰ぎ、また黙秘権の行使もあり得る」と話した。

 ここ数か月間、アジア太平洋地域の内外で、経済成長を外交および軍事面での影響力強化に直結させようとする中国政府とオーストラリアの間で、緊張が高まっている。(c)AFP