【6月27日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)の王者ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は26日、F1の元興行主であるバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)氏が「白人よりも黒人の方が人種差別的なケースがある」と発言したことを受けて、同氏を「無知で教養に欠ける」と強く批判した。

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 40年にわたりF1の最高経営責任者(CEO)を務めた89歳のエクレストン氏は、ハミルトンの最近の反人種差別活動に関してコメントを求められた。すると、同選手の取り組みについては称賛する一方で、より多くの黒人青年をモータースポーツ界に導くことを目指して設立したハミルトン・コミッション(Hamilton Commission)の影響力に関して疑問を呈した。

 エクレストン氏は米CNNに対して、「F1にとって、それが何か悪いことや良いことにつながるとは思えない」「多くのケースにおいて、白人よりも黒人の方がより人種差別的だ」とコメント。さらに深く言及を求められると、見解の根拠を示すことはできないと認めつつ、ただ長い年月でそのことに「気付いた」と話すにとどまった。

 F1で唯一の黒人ドライバーであるハミルトンは、エクレストン氏のこの発言に反発し、「バーニーはこの競技の部外者であり世代も違う。だけど、これは絶対に間違っている。無知で教養に欠けるコメントであり、われわれの社会において本当の意味で平等が実現するまで、どれだけ遠い道のりであるかを示している」と自身のインスタグラム(Instagram)に投稿した。

「何十年もこの競技を運営してきた人物が、僕たち黒人が毎日直面している根深い問題に関してこれほど理解に欠けているとすれば、どうやって僕らは彼の下で働く全職員に理解させることができるのか?」「まずはトップから始めなければ」

 多様性に欠けているとしてハミルトンから批判されてきたF1は、今回のエクレストン氏の発言から距離を置く立場を示し、「人種差別や不平等に対抗すべく結束が必要とされている時において、エクレストン氏の発言には全くもって反対であり、F1であろうと社会であろうと受け入れられるものではない」と発表した。

「エクレストン氏は2017年に組織を離れてから、F1において何の役割も果たしておらず、敬意を示す名誉会長の肩書も2020年1月に失効している」 (c)AFP