【6月25日 AFP】国際通貨基金(IMF)は24日発表した最新の世界経済見通し(World Economic Outlook)で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が世界経済に「類例のない危機」をもたらしたとし、2020年の世界の国内総生産(GDP)成長率をマイナス4.9%、2年間での損失額を12兆ドル(約1300兆円)と予測した。

 新型ウイルスの流行により、世界各国で経済活動が制限され、数億件規模の雇用が喪失。欧州主要国の経済は10%以上縮小すると予想され、約100年前の世界大恐慌(Great Depression)以降で最大の危機となっている。

 IMFは、新型ウイルス流行の先行きが不透明なことから、今回の予測と流行収束後の回復見通しには「広範な不確実性」が伴うと説明。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは2020年上半期の活動に予想より大きな悪影響をもたらし、回復は当初予測よりもゆるやかとなる見通しだ」としている。

 IMFは、多くの国で経済活動が再開され、中国では予想以上の回復が見られたものの、感染第2波の恐れが今後の見通しに影を落としていると指摘。流行の収束がすべての面でうまくいけば、2021年の世界のGDP成長率はプラス5.4%に回復すると予想している。

 最新の見通しでは、新型ウイルス流行の初期段階にあった4月の前回予測の大半が大幅に下方修正された。プラス成長が見込まれるのは中国の1.0%のみで、米国はマイナス8.0%、ドイツはそれをわずかに上回るマイナス7.8%と予測。フランス、イタリア、スペイン、英国のいずれも10%以上のマイナス成長とされた一方、日本は比較的低いマイナス5.8%の見通しとなった。(c)AFP/Heather SCOTT