英名門イートン校、人種差別受けた黒人卒業生に謝罪へ
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【6月23日 AFP】英国の名門イートン校(Eton College)の校長は23日、1960年代に同校で人種差別を受けた黒人の卒業生を招き、直接謝罪すると発表した。
首都ロンドン西郊ウィンザー(Windsor)にあるこのエリート私立男子校で差別を受けたのは、同校を1969年に卒業したナイジェリア人作家のディリベ・オンエアマ(Dillibe Onyeama)氏。
オンエアマ氏は、在校時に直面した差別について本を出版した後、母校への訪問を禁じられていた。
サイモン・ヘンダーソン(Simon Henderson)校長は、「オンエアマ氏を招待してお会いし、本校を代表して直接謝罪するとともに、イートンは同氏をいつでも歓迎するという姿勢を明確に伝えたい」と述べた。
米国で黒人男性が警察に拘束された際に死亡した事件を受け、英国各地でも反人種差別の抗議デモが行われている。
エリート主義と英国の階級格差の代名詞的存在となっているイートン校の学費は、年額4万2000ポンド(約560万円)以上。卒業生には、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)現首相をはじめ、ウィリアム王子(Prince William)やヘンリー王子(Prince Harry)らも名を連ねている。
オンエアマ氏は過去にBBCの取材に対し、他の生徒らから毎日のようにからかわれ、「おまえはどうして黒いの?」、「髪の中に何匹うじ虫がいるんだ?」といった言葉を浴びせられたと明かしていた。
BBCによると、オンエアマ氏が学業で苦しんだ時もスポーツで活躍した時も、生徒らはそれを人種のせいだと言い、試験で良い点を取れば、カンニングをしたと責め立てたという。
1972年に出版した回顧録でこの経験を詳述したオンエアマ氏の元には、イートン校から母校の訪問禁止を言い渡す公式書簡が届いていた。
オンエアマ氏は、今となっては謝罪は不要だが、「肌の色や人種に基づく偏見というものは、他の偏見とは異なる形で被害者の人間性を奪うものだということを、改めて思い知らされる」と語った。(c)AFP