【6月22日 AFP】米ストックカーレースのNASCARは21日、リチャード・ペティ・モータースポーツ(Richard Petty Motorsports)の黒人ドライバー、バッバ・ウォレス(Bubba Wallace)のガレージから輪縄が見つかったため、「極悪」な行為に対する調査を始めたと発表した。

 ウォレスは最上位カテゴリーのカップ・シリーズ(NASCAR Cup Series)にフル参戦している中では唯一の黒人選手で、NASCARは「本日午後遅く、ナンバー43のガレージから輪縄が見つかったとの連絡を受けた」と発表した。

「われわれは憤慨し、今回の極悪な行為をこれ以上ないほど重く受け止めている。すでに調査を始めており、全力で犯人を特定してこのスポーツから排除する」「すでにはっきり述べている通り、NASCARに人種差別の居場所はなく、こうした行為は、万人を歓迎するオープンなスポーツにしたいというわれわれの決意を固くするだけでしかない」

 ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で、ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察の拘束下で死亡した事件以降、人種差別に対して声を上げ続けているウォレスは、ツイッター(Twitter)で今回の一件を非難し、「卑劣な人種差別行為」が「信じられないほど悲しい」と嘆く一方、「こんなことでは自分は折れない」「譲りも、引き下がりもしない」とも話した。

 NASCARは今月、会場における南軍旗の使用を禁止し、ウォレスもこの判断を強く支持していた。南軍旗は今回のレースの舞台であるアラバマ州タラデガ(Talladega)を含め、特に南部のサーキットで当たり前に見られたが、今も多くの人にとって、奴隷制と人種差別の象徴であり続けている。

 カップシリーズは、新型コロナウイルスの感染拡大以降、初めて観客を入れて行う予定だった21日のレースを雷雨の影響で22日に延期した。しかし天候が悪化する前には、小型機がサーキット上空を飛び、巨大な南軍旗と、SNSで広まっている「NASCARへの出資を取り消せ」というメッセージを書いた横断幕をたなびかせた。

 NASCARのスティーブ・オドネル(Steve O'Donnell)副社長は、この行為をすぐさま非難し、ツイッターに黒人と白人が握手をしている写真を投稿して「愚か者がコース上空に旗を飛ばすところは見たくない。見たいのはこちらだ。皆がきょうのレースを楽しんでくれることを願う」と書き込んだ。(c)AFP