【6月19日 AFP】(更新)イタリア北部の2都市に、新型コロナウイルスが昨年12月に存在していたことが、国の研究所が行った下水調査で判明した。渡航者を除き、同国内で最初の感染者が確認された日の2か月以上前に当たる。

 AFPが19日に確認した高等衛生研究所(ISS)の発表によると、昨年末にミラノ(Milan)とトリノ(Turin)、さらに今年1月にボローニャ(Bologna)で採取された下水のサンプルから、新型コロナウイルス「Sars-Cov-2」の遺伝子の痕跡が発見されたという。

 渡航者を除き、イタリア国内での感染者が初めて確認されたのは2月中旬だった。

 ISSの水質専門家、ジュゼピーナ・ラローザ(Giuseppina La Rosa)氏とその研究班は、昨年10月から今年2月の間に採取された下水サンプル40件を調べた。

 その結果、昨年12月18日にミラノとトリノ、今年1月29日にボローニャで採取された各サンプルから、新型コロナウイルスの痕跡が見つかった。検査は2つの研究室で異なる手法を用いて行われたが、同じ結果が出たという。

 ラローザ氏は、昨年10、11月に採取されたサンプルからは新型ウイルスは検出されなかったため、その時点ではウイルスが存在しなかったことが示されていると述べた。

 ISSは、調査結果は「イタリア国内における新型ウイルス流行の始まりを理解するのに役立つ」と説明。

 さらに、下水サンプルをウイルスの早期発見ツールとして利用することの戦略的機能という面で「これまでに集約された国際的エビデンスが裏付けられた」としている。

 新型ウイルス感染者の中には無症状者や軽症者も多いが、下水検査を実施することにより、流行が起きていない、または一時落ち着いた地域で、最初の感染者が病院で確認されるより早くウイルスの存在を検知できる可能性がある。(c)AFP