【6月19日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかっても症状を示さない人は、症状が重くなる人に比べて、獲得できる免疫レベルが顕著に低い可能性があることが、18日に発表された最新研究で明らかになった。

【図解】免疫の仕組み、体を守る構造と過程の複雑なネットワーク

 大半のCOVID-19患者は、感染症の兆候を示しても比較的軽度だが、中には全く症状を示さない患者もいる。

 こうした無症状グループは、呼吸器疾患などの重い症状を発症する段階に進む人に比べて、検査を受けるケースがはるかに少ないと考えられる。そのため、このグループに関して分かっていることは非常に少ない。

 中国を拠点とする研究チームは、重慶(Chongqing)市の万州(Wanzhou)区で、COVID-19に感染した有症状患者37人と無症状患者37人の2グループを比較調査した。

 回復期に入ってから数週間後、研究チームは両方のグループから血液サンプルを採取・分析した。その結果、短期抗体を持つ人の割合は、有症状患者グループでは全体の78.4%だったのに対し、無症状グループでは62.2%にとどまっていたことが分かった。

 また8週間後の調査では、血液中に存在する抗体の減少が認められた人の割合は、有症状患者グループでは全体の62.2%、無症状グループは81.1%だった。

 さらに、無症状グループでは有症状グループに比べて、炎症誘発性および抗炎症性の細胞シグナル伝達タンパク質18種類の存在量が低いことも明らかになった。これは、新型コロナウイルスに対する免疫応答が弱いことを示唆している。

 研究結果について、医学誌ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)に掲載された論文の執筆者らは「新型コロナウイルスに感染したことがある人なら誰でも将来の感染に対して免疫がある」とする説に疑問を投げかけるものとなったと話す。

 今回の研究には参加していないが、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のダニー・アルトマン(Danny Altmann)教授(免疫学)は「患者のサンプル数が限られてはいるが、新型コロナウイルスに対する自然免疫の持続期間は極めて短い可能性があるとする一部の懸念と一致する」と指摘している。(c)AFP/Patrick GALEY