■人道に基づく例外措置

 アジアの他の国では、制限はさらに厳しい。モンゴルは国境を事実上封鎖した。自国民でさえ、ごくまれにしかない退避用の飛行機を利用する以外に入国の方法はない。

 そうした制限によって、ニャムツェレン・エルデネツェツェグ(Nyamtseren Erdenetsetseg)さんと夫のスフバートル・ドルジ(Sukhbaatar Dorj)さんは、渡航先で足止めされ、いつモンゴルに帰って子どもらに会えるのかが全く分からない状況に直面した。

 夫婦は1月、子ども5人をドルジさんの母親に預け、エルデネツェツェグさんの母親が住む韓国を訪問した。するとモンゴル政府はその翌月、韓国からの入国を禁止し、夫婦は帰国することができなくなってしまった。

 エルデネツェツェグさんとドルジさん夫婦は退避用飛行機の利用を含め、あらゆる帰国手段を模索した。そして5月3日、ドルジさんの母親が急死したとの連絡があり、ドルジさんの姉が急きょ夫婦の子どもらを引き取ることになった。

 子どもらからいつ戻って来るのかと電話越しに問われたが「何も言わなかった」とエルデネツェツェグさんは言う。「期待させた後、がっかりさせたくなかった」とその理由を述べた。

 エルデネツェツェグさんは韓国のビザ(査証)の有効期限が切れても延長せず、当局によって本国に送還されればいいとすら考えている。しかし、それをすることで今度は、韓国にいる母親に会うことが難しくなってしまう。

 一方、日本政府は今月、人道上配慮すべき事情がある場合においては、日本に暮らす外国人の再入国を許可する「例外的な」ルールについて言及した。

 これにより、母親に会いに行ける可能性が出てきたゆかりさんは「私が願うのは…最後に母に一目会いに行くことだけです」と話した。(c)AFP/Sara HUSSEIN