【6月18日 AFP】欧州連合(EU)は17日、中国企業を念頭に、政府から多額の補助金を得ている外国企業による欧州企業買収の規制を強化する方針を明らかにした。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による経済的打撃を受け、景気後退で経営難に陥った欧州企業に対する外国企業の投資攻勢や買収への懸念が高まり、規制強化が急がれている。

 規制強化が実現すれば、EUは欧州で事業を展開しようとする外国企業を詳しく調査する新たな権限を持つことになる。欧州離脱後の英企業にも影響するとみられる。

 EUの行政執行機関である欧州委員会(European Commission)のティエリ・ブルトン(Thierry Breton)委員(域内市場担当)は記者団に対し、「問題は、われわれ欧州の企業が規制に従うことで不利を被っている一方、中国や第三国の企業は過剰な公的資金を受け取っていることだ」と指摘。

 欧州委員会のブルトン氏と、マルグレーテ・ベステアー(Margrethe Vestager)執行副委員長(競争政策担当)は、規制に向けた計画を明らかにした白書を公表し、来年欧州委員会が法案を提案すると説明した。

 ベステアー氏は、「補助金を得た外国企業が欧州市場で競争をゆがめないようにする適切な手段が必要だ。EU企業への国庫補助金はすでに規制されている」と説明した。

 欧州委員会は、「外国の補助金がEU企業の買収を助長しているとみられる事例が多い」と指摘し、アルミニウム、鉄鋼、造船、自動車企業が外国企業の買収対象になりやすいとしている。

 計画によれば新規制では、外国企業が過剰な補助金を受け取っていると判断された場合、補償や他の措置を命じる権限を欧州の規制当局に与える。

 欧州委員会は、過剰な補助金を得ている外国企業が、経営難に陥った欧州企業を対象とする買収や株式の大量取得をすることを阻止する方針。またそのような外国企業が公共事業の入札で欧州企業の提示額を大幅に下回る金額で落札しそうな場合に、EU当局が介入できるようにすることも目指す。(c)AFP