【2月5日 AFP】米中貿易戦争の最大の勝者は欧州連合(EU)──。国連貿易開発会議(UNCTAD)は4日、米中が互いの製品に追加関税を掛け合う貿易戦争の影響について、当事国の両国はいずれも利益を得られない一方、ほかの国や地域、特にEUが大きな恩恵を享受すると予想する報告書を発表した。日本も輸出額が200億ドル(約2兆2000億円)超増え、EU、メキシコに次いで大きな「漁夫の利」を得るとしている。

「貿易戦争──痛みと利益(The Trade Wars: The Pain and the Gain)」と題されたこの報告書では、2大経済大国の米国と中国の間ですでに課されている報復関税に加え、米国で3月1日に中国からの輸入製品に対して発動される予定の追加関税の影響について分析した。

 その中では「2国間の関税は世界の競争力のあり方を、その関税の影響を直接受けない国々で活動する企業に有利になるように変えていく」と予想。EUは輸出額が700億ドル(約7兆7000億円)増え、貿易戦争の最大の勝者になりそうだと指摘した。

 さらにメキシコ、日本、カナダもそれぞれ輸出額が200億ドル超増えると予想。このほか、オーストラリア、ブラジル、インド、フィリピン、パキスタンも「輸出規模に比べるとかなり大きな効果」が見込まれるとした。(c)AFP/Nina LARSON