【6月16日 AFP】米カリフォルニア州ロサンゼルス郡で先週木からつり下がった状態で発見され、自殺と判断されていた若い黒人男性の遺体について、同郡保安官事務所は15日、事件性を視野に入れて徹底的に捜査をやり直す方針を発表した。

 ロサンゼルス市の北東約100キロに位置するパームデール(Palmdale)の市庁舎付近で今月10日未明、24歳の黒人男性ロバート・フューラー(Robert Fuller)さんの遺体が、首に巻かれたロープで木からつり下がった状態で発見された。当局は当初自殺と発表していた。

 だがロサンゼルス郡のアレックス・ビラヌエバ(Alex Villanueva)保安官は15日、当初の発表を撤回し、「一つの見逃しもないよう」徹底的な捜査を行うと述べ、検視を命じたことを明らかにした。同保安官は、「この死亡事例に関する捜査が、パームデールの地域社会だけではなく、米国全体にとっての大きな関心事であることは明らかだ」と述べ、州司法長官や連邦捜査局(FBI)にも報告したと語った。

 今後、遺族や発見者の事情聴取の他、監視カメラ映像の解析や首に巻かれていたロープの科学捜査、フューラーさんの病歴の調査などが行われる。

 フューラーさんの死をめぐっては遺族が自殺の可能性に疑問を投げ掛け、徹底的な捜査を要求。13日には早々に自殺と判断した当局に対する抗議デモがパームデールで行われ、数千人が参加した。

 周辺では5月31日にもパームデールから東約80キロのビクタービル(Victorville)にあるホームレスの野営地付近で、黒人男性のマルコム・ハーシュ(Malcolm Harsch)さん(38)が木に首をつった状態で発見されている。所轄の保安官事務所は事件性はないとしているが、遺族はその見解を疑問視している。(c)AFP