【6月16日 AFP】(更新)米最高裁は15日、職場差別を禁止した連邦法は性的指向や性自認にも等しく適用されるとの判決を下した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権の見解に反する画期的な決定だ。

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 最高裁は判決で、従業員への性差別を禁止した1964年の公民権法第7編は、性的指向とトランスジェンダーも対象としていると明言。判決文で「きょう、私たちは誰かが単に同性愛者やトランスジェンダーであることだけを理由に解雇されることができるかどうかを決定しなければならない」と述べ、「答えは明らかだ」とした。

 ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の権利活動家や民主党の政治家、複数の大企業はこれまで、最高裁に対し、同法による保護がLGBTの人々にも適用されることを認めるよう要求していた。

 最高裁は2015年、同性婚を合法とする判決を下し、性的少数者にとって歴史的勝利となった。しかし権利活動家たちは、トランプ氏が新たに保守派の最高裁判事2人を指名したことから、さらなる権利向上が妨げられるのではと懸念していた。

 だが今回の判決で多数意見を執筆したのはそのうちの一人、ニール・ゴーサッチ(Neil Gorsuch)判事で、これにリベラル派の判事4人とジョン・ロバーツ(John Roberts)最高裁長官が加わった。

 ゴーサッチ判事は判決文で「同性愛者やトランスジェンダーであることを理由に従業員を解雇する雇用主は、その従業員が別の性だったとすれば問題とならなかったであろう特徴や行為を理由に解雇している。その決定において、性は必要かつ隠しきれない役割を果たしており、これはまさに第7編が禁じるものだ」と断言した。

 雇用主側を擁護する立場を取ってきたトランプ政権にとって、判決は打撃となった。(c)AFP