【6月15日 AFP】国連(UN)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、世界の児童労働者数が20年ぶりに増加し、数百万人の子どもが労働を強いられる恐れがあると警鐘を鳴らしている。

 国連機関の国際労働機関(ILO)と国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が12日に発表した共同報告書によると、児童労働者数は2000年以降、9400万人減少。

 しかし新型コロナウイルスのパンデミックにより、「状況が後退する現実的なリスク」があり、同ウイルスが招いた危機を受け、貧困層が著しく増加する可能性が高いと警告している。

 世界銀行(World Bank)は、極度の貧困層は今年だけで最大6000万人増加する恐れがあるとしている。

 ILOのガイ・ライダー(Guy Ryder)事務局長は、「パンデミックが世帯収入を直撃しており、援助がなければ、多くの家庭が児童労働に頼らざるを得ない」と述べた。

 ILOとユニセフの報告書は、貧困率が1%上がるごとに、児童労働の割合も0.7%以上増えるという複数の国の調査結果に基づき、貧困層と児童労働者数の増加の相関関係は明白だと指摘している。

 両機関は、新型ウイルス対策による学校閉鎖により、児童労働者数が増加したことを示す証拠が増えていることに言及。現在130か国以上で、10億人以上の児童・生徒が一時的な学校閉鎖の影響を受けており、また学校が再開されても、保護者が学費を払えなくなっている恐れがあるとしている。

 同報告書は、学費の免除をはじめとするさまざまな是正措置を提案。同時に各国政府に対しては、社会保障を拡充させ、貧困家庭が手当などをより容易に受け取れるようにすることを求めている。(c)AFP/Nina LARSON