【6月20日 CNS】中国・甘粛省(Gansu)甘南チベット族自治州(Gannan Tibetan Autonomous Prefecture)碌曲県(Luqu)尕秀村(Gaxiucun)は、観光客が農村の暮らしを体験するレジャーを村ぐるみで進めている。これから夏の季節は特に過ごしやすく、世界から観光客が集まる人気スポットとなっている。

 中国の農村部では、「庭院経済」と呼ばれる村おこしが進んでいる。昔ながらの建物や庭を観光客に開放したり、村ぐるみで伝統的な暮らしを生かした農業経営をしたりしている。

「私たちの村はかつて牧畜が中心で、みんな遊牧生活を送っていました」。尕秀村幹部のラマオジャさんはそう振り返る。

 長江(揚子江、Yangtze River)と黄河(Yellow River)の水源地に位置する碌曲県は河川や湖が豊富にあり、碌曲草原の中に尕秀村がある。1960年代の尕秀村には60世帯しか住んでいなかった。当時の遊牧民はテントで暮らし、決まった場所に定住していなかった。碌曲県は2003年、国道沿いに遊牧民向けの集落を設立し、遊牧民に定住を促した。

「遊牧生活は子どもたちの就学やお年寄りの通院に不便でしたが、それでも一部の遊牧民は定住を拒否しました」とラマオジャさん。その後、定住生活を始めた村人の暮らしが豊かになっていく様子を見て、残る村人も徐々に牛や羊を手放し、定住生活を選んでいった。

 2017年、尕秀村は自治州から「全域観光ゴミゼロのモデル村」に認定され、村人は広場や遊歩道、村全体の照明などを一新。チベット族の農村生活を伝える観光ビジネスを本格化させた。

 自宅で観光客に果物を販売しているラマオジャさんは「庭にいるだけでお金が入ってくるなんて、夢にも思わなかったですよ」と喜びを語る。

 尕秀村では約300人が農村観光に従事し、世帯の平均収入は3万元(約45万3924円)を超える。一部の村人は年収が13万元(約196万7004円)に達しているという。

 遊牧生活から観光業にシフトしたことで、尕秀村では草原が保存され、自然環境も改善されている。「純朴な暮らしが私たちの一番のセールスポイント。一人でも多くの人にチベット族の農村生活を体験してほしい」とラマオジャさんは話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News