【6月11日 AFP】米グラミー賞(Grammy Awards)を主催するレコーディング・アカデミー(Recording Academy)は10日、同賞の一部部門を改名したことを発表した。「最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム(Best Urban Contemporary Album)」部門は、「最優秀プログレッシブR&Bアルバム(Best Progressive R&B Album)」に変更された。

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 今回の変更の背景には、長年「アーバン」という用語がヒップホップやR&B(リズム・アンド・ブルース)などの音楽ジャンルをひとくくりにするのに使用され、ブラックミュージックがもたらした音楽の発展を過小評価しているとして、音楽業界で批判が高まっていたことがある。

 レコーディング・アカデミーは改名した「最優秀プログレッシブR&Bアルバム」部門について、「よりプログレッシブなR&Bの要素を含むアルバムや、ヒップホップ、ラップ、ダンス、エレクトロニックミュージックのサンプリングや要素を含むアルバムに光を当てる意図がある」と説明。また「ポップスやユーロポップ、カントリー、ロック、フォーク、オルタナティブの演出要素を取り入れたもの」も対象になるという。

 5日には、ユニバーサルミュージックグループ(Universal Music Group)傘下のレーベル「リパブリック・レコーズ(Republic Records)」が、「アーバン」という用語を今後使用しないと発表していた。

 1970年代に米ニューヨークの黒人ラジオDJが広めた「アーバン」という用語は、当初はネガティブなものではなかった。しかし、特にヒップホップやR&Bが世界的な人気音楽ジャンルになった今では、ブラックミュージック作品を過小評価する時代遅れの総称だと考えられている。

 だが、レコーディング・アカデミーは「アーバン」という用語を完全に廃止したわけではなく、新たに名付けられた「最優秀ラテン・ポップ、アーバン・アルバム(Best Latin Pop or Urban Album)」などのいくつかの部門では使用が続けられる。(c)AFP