【6月10日 AFP】米英語辞典のメリアム・ウェブスター(Merriam-Webster)は、「racism(人種差別)」の項目について、有色人種に対する抑圧をより明確に盛り込んだ定義にすべきだとの黒人女性からの指摘を受けて、改訂する方針を明らかにした。

 1847年から辞書を出版しているメリアム・ウェブスター社に連絡を取り、定義の改訂を提案したのは、アイオワ州のドレーク大学(Drake University)を最近卒業したケネディ・ミッチャム(Kennedy Mitchum)さん。

 ミッチャムさんはCBSテレビの系列局KMOVに対し、「私が伝えたのは、ある集団に属する人々に対する徹底的な抑圧があることを(定義に)含める必要があるということ。(人種差別というのは、)『私は誰かのことが嫌い』というレベルの話ではない」と語った。

 メリアム・ウェブスターのピーター・ソコロウスキー(Peter Sokolowski)編集長はAFPに対し、ミッチャムさんの指摘を受けて定義を変更する方針だと認めた。

 同辞書の「racism」の項目には現在、3つの定義が示されており、ソコロウスキー編集長によると、ミッチャムさんの指摘に関わるのは2つ目。「人種差別の想定に基づき、その原理を遂行することを目的とした教義あるいは政治的プログラム」や、「人種差別の上に成り立つ政治的あるいは社会的な制度」と説明されている。

 ソコロウスキー編集長は、「次の改訂版で、より一層明確に言及する予定だ」と話している。

 ドレーク大学が公表し、ミッチャムさんがツイッター(Twitter)で共有したメッセージによると、メリアム・ウェブスター辞書の編集者の一人が、「この問題により早く対処しなかったことにより、われわれが招いた悪影響や不快感について謝罪する」と表明したという。

 ウェブサイト分析ツール「シミラーウェブ(SimilarWeb)」のまとめでは、無料検索が可能なメリアム・ウェブスターのウェブサイトには、先月だけで5000万人近いユニークビジターがアクセスしたとされる。(c)AFP