【6月11日 AFP】中国・河南(Henan)省にある遺跡の発掘調査で見つかった小さな鳥の像が、これまでに東アジアで出土した最古の彫像であるとする研究論文が10日、米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された。論文によると、彫像は約1万3500年前に焼け焦げた骨から削り出されたものとされる。

 丁寧な作業が施されたこの鳴き鳥の像には台座部分があり、アーモンドの粒より小さいくらいの大きさだ。河南省にある霊井(Lingjing)遺跡で、焼け焦げた動物の骨や陶器のかけらなどの中から発見された。この地域には中国最古の文明の一部が存在したと考えられている。

 この極めて小さな彫像を発見したのは、論文の筆頭執筆者で、中国・山東大学(Shandong University)の李占揚(Zhanyang Li)氏だ。李氏は2005年から霊井遺跡での発掘調査を行っている。

 この区域の発掘調査ではこれまでに、12万年前から青銅器時代(3000年前)までに至る11の異なる年代の地層が発見されている。このうち5番目の地層の大部分は、1958年に実施された井戸の掘削作業で取り除かれ、近くにある廃棄物の集積地に捨てられていた。

 集積地はその後何年も手付かずのままだったが、研究チームが土をふるいにかけて詳細に調べたところ、焼き物のかけらや焦げた動物の骨などの複数の遺物が見つかった。見つかった鳥の像はその中に含まれていた。彫像の大きさは、全長19.2ミリ、高さ12.5ミリ、幅5.1ミリだ。

 今回の研究では、像を傷つける恐れがあるとして、鳥の彫像そのものに放射性炭素年代測定法は用いられなかった。その代わりに彫像と一緒に見つかった同様の骨の一つを放射性炭素法で調べ、鳥の彫像の年代が1万3500年前のものと推定された。この結果について研究チームは、同地域でこれまでに発掘された小像を8500年近くさかのぼると指摘している。(c)AFP/Kelly MACNAMARA