【6月11日 AFP】ドイツのハイコ・マース(Heiko Maas)外相は10日、中東エルサレム(Jerusalem)を訪問し、イスラエルが占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)の一部併合を計画している問題について、深刻な懸念を表明した。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)発生後、イスラエルを訪問した欧州の高官はマース氏が初めて。マース氏はエルサレムで、ヨルダン川西岸の一部併合によって生じ得る結果について「率直かつ深刻な懸念」を表明。その後、隣国ヨルダンでも同様の懸念を示した。

 イスラエルは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の中東和平案に従い、ヨルダン川西岸の入植地の一部とヨルダン渓谷(Jordan Valley)を併合する方針を示している。

 マース氏はイスラエルのガビ・アシュケナジ(Gabi Ashkenazi)外相との共同記者会見で、「わが国と欧州連合(EU)は、併合は国際法に準拠していないと考える」と述べ、代わりにイスラエルとパレスチナの「2国家解決」に向けた対話の再開を呼び掛けた。

 アシュケナジ氏は、トランプ氏の中東和平案を「重要な節目」で「大きなチャンス」と呼び、併合計画について、イスラエルの既存および将来の「和平合意と戦略的利益」を維持しつつ、「米国の全面協力を得て責任を持って進めていく」と述べた。(c)AFP