【6月10日 AFP】黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんの死に対する抗議活動が続く中、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)が、五輪での選手の抗議を禁止するルールの変更を目指すことを示唆した。

【写真】表彰台で抗議するベリー

 前週に代表選手からの聞き取りを行ったUSOPCは、8日遅くに公開書簡を発表。サラ・ハーシュランド(Sarah Hirshland)最高経営責任者(CEO)が、これまで「選手の声に耳を傾けず、人種差別や不平等を容認してきた」ことを認めた。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪での「デモや政治的、宗教的、人種的なプロパガンダ」を規則で禁止している。しかしハーシュランドCEOは、「抗議の権利などの前進を阻む組織内の規則、制度に異を唱える」選手主導のグループを立ち上げ、方針の見直しを模索していくことを示唆した。

 ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で、フロイドさんが白人警官に首を膝で押さえられて死亡する事件が起こった5月25日以降、米国では人種差別と警察の暴力に対する抗議活動が続いている。

 その中で、USOPCにも厳しい目が向けられていた。委員会は2019年、パンアメリカン競技大会(2019 Pan American Games)の表彰式で抗議した陸上女子ハンマー投げのグウェン・ベリー(Gwen Berry)とフェンシング男子フルーレのレース・インボーデン(Race Imboden)に注意を与えて1年間行動を観察し、次は厳罰に処すと警告していた。

「対話集会」で多くの選手と話し合い、意見を聞いたハーシュランドCEOは、黒人選手の感じている痛みは「とてつもない」ものだと続けた。

「選手の皆さんは数十年にわたって平等や連帯を求める声を上げ、自分のための瞬間を犠牲にして表彰式で変化を訴えてきた」「しかし、われわれはその声に耳を傾けず、人種差別や不平等を容認してきた。申し訳ない。もっと適切に対応すべきだった。あなたたちは大切だ。黒人の命は大切だ」

「今こそ選手の勇気に応え、障壁を取り払い、ルールを変え、黒人の声に力を与えて聞こえるようにしなくてはならない」 (c)AFP