【6月8日 AFP】コリン・パウエル(Colin Powell)元米国務長官は7日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が米憲法から逸脱していると非難した。共和党が大統領に説明責任を負わせていないとも批判し、大統領選では民主党候補のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に投票する意向も示した。

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 退役陸軍大将で、共和党大統領の下で軍事および外交のトップを務めたパウエル氏は米CNNに対し、トランプ氏は民主主義に対する脅威であり、彼のうそと侮辱的言動により世界から見た米国は衰退したと厳しく非難。「われわれには憲法がある。われわれは憲法に従わなければならない。大統領はそれから逸脱した」と述べた。

 ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で先月25日、非武装の黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さん(46)が警官の拘束下で死亡した事件を受け、反人種差別の大規模なデモが全米に広がっている。その対応をめぐりこれまでジェームズ・マティス(James Mattis)前国防長官ら軍の元トップが相次いでトランプ氏を公然と批判していた。

 パウエル氏の発言に重みがあるのはその経歴からだ。パウエル氏は共和党のジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)大統領とジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の両政権下で、アフリカ系米国人として同国で初めて統合参謀本部議長、また国務長官を務めた。統合参謀本部議長を務めたアフリカ系米国人はこれまでパウエル氏以外いない。(c)AFP/Jim MANNION