【6月7日 AFP】内戦状態にあるリビアで6日、国連(UN)が支持している暫定政権「国民統一政府(GNA)」が、地中海に面する同国北部の要衝シルト(Sirte)の奪還を目指して攻撃を開始した。一方、劣勢となった有力軍事組織「リビア国民軍(LNA)」を率いるハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)司令官はエジプトが提示した停戦提案を支持した。

 東部を拠点とするハフタル氏は首都トリポリ攻略を目指して昨年4月に攻勢に出たものの、GNA側はこれを撃退し、トルコが軍事支援を強化したことを受けて東に進軍しようとしている。GNAのモハマド・グヌヌ(Mohamad Gnounou)報道官は「空軍がシルト郊外を5回攻撃した」と語った。

 首都トリポリの東450キロに位置するシルトは、失脚し殺害された独裁者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の出身地で、リビアの西部と東部を分ける境界に最も近い大きな町。LNAは今年1月、無数の地元民兵組織の一つが寝返ったことを受け、ほぼ戦闘なしにシルトを制圧していた。シルトの先には、ハフタル氏にとって最も重要な戦略資産であるリビアの主要石油輸出港がある。

 西部に持っていた最後の拠点、首都トリポリ南東のタルフナ(Tarhuna)を5日にGNA側に奪還されたLNAは、西部からの退却に当たり持続的停戦を求める国際的圧力の高まりに応じたものだとして平静を装った。ハフタル氏の有力支援者の一人であるエジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領は6日、エジプトの首都カイロでハフタル氏らリビア東部の指導者らと会談。会談後にシシ大統領は、8日午前6時(日本時間同日午後1時)からの停戦を呼び掛ける宣言文書にハフタル氏らが署名したと発表した。

 しかしGNAのグヌヌ報道官は、シルトの地元指導者らに対し「最後の呼び掛け」として、シルトを「戦争の恐怖」に巻き込まないためハフタル氏から離れるよう求めた。民兵組織を解体しその武器をLNAに引き渡すことを含むエジプトの提案に水を差す意図があるとみられる。(c)AFP/Rim Taher