無駄を生む過酷スケジュール見直しを 大物デザイナーら呼び掛け
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【6月21日 AFP】「二度と元には戻れない」──新型コロナウイルス時代の今、盛んにこの言葉が使われている。ファッションの世界にとっては、まさにその通りだろう。
ロックダウン(都市封鎖)中に業界内で地殻変動が起こり、目まぐるしい「ファッションサーカス」ともいえるような現状を見直すべきだとして、デザイナーたちが声を上げたのだ。
多くの人が、ファッション業界の猛烈なリズムと無駄な過剰生産に長年疑問を投げかけてきた。だが、春夏、秋冬、クルーズ、プレフォールだけではなく、今や必須となったカプセルコレクションなど、ハムスターが回し車を回しているかのような絶え間ないコレクションの連続に対し、公に疑問を投げかける勇気がある大物はほとんど存在しなかった。
これに最初に亀裂を入れたのは、サンローラン(Saint Laurent)のデザイナー、アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)氏だった。同氏は4月、今年のパリ・ファッションウィークに参加しないと発表。今後は、「サンローランは独自のリズムで進めていく…自らのペースをコントロールし、スケジュールの見直しをする」と宣言した。
■「服に長い寿命を」
グッチ(Gucci)のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)氏もこれに加わった。第2次世界大戦(World War II)以降、ファッション業界を支えてきたシーズンごとのコレクションそのものに疑問を呈し、年5回のショーを2回に削減すると発表した。
同氏はイタリア・ミラノ(Milan)から行ったオンライン記者会見で、「服には長い寿命が必要だ」と述べた。
若手だけではない。
85歳の現在も活動するデザイナー界の長老、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)氏は、「余分なものを切り捨て」ファッション業界の過酷なスケジュールを抑制する時がきたと語った。「われわれは騒然とした時代に生きているが、これによって何が機能していないのか見直す特別な機会を得ることができた…より人間的な側面を見つけるため」