■ドリス・ヴァン・ノッテンが公開書簡で呼び掛け

 さらに重要なのは、ベルギーの巨匠ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)氏と新進気鋭のフランス人デザイナー、マリーン・セル(Marine Serre)氏が主導し、高級ファッションの仕組みを再考するよう呼び掛ける公開書簡が出されたことだ。

 この公開書簡には、ブランド、クリエーター、百貨店など数百の業界プレーヤーが署名しており、クロエ(Chloe)やトム ブラウン(Thom Browne)、ハーヴェイ・ニコルズ(Harvey Nichols)が含まれている。

「ビジネスを簡素化し、より持続的な環境と社会を実現するための根本的な変化」を呼び掛けており、現在パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンの世界四大コレクションの主催者と協議中だという。

 ヴァン・ノッテン氏はさらに、値引きの乱発とブラックフライデー(Black Friday)型の大安売りの終了を呼び掛け、店舗での陳列期間を延ばしてほしいと訴えた。

 ヴァン・ノッテン氏は、現在の小売り販売文化は無駄と過剰生産という「危険な循環」を生み出していると指摘。「セール後に店舗では新しい商品が必要となり、われわれはさらに新たなコレクションの制作を迫られる」と仏紙ルモンド(Le Monde)に語った。

 グッチとサンローランは、高級ブランドの二大巨頭の一つ、ケリング(Kering)の傘下にある。同社はAFPの取材に対し、クリエーターたちが主張するスケジュールの全面見直しを支持するかどうかについてはコメントを控えた。

 一方、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やディオール(Dior)など無数のブランドを傘下に持つ高級品小売り世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)もコメントは控えた。(c)AFP/Fiachra GIBBONS