【6月5日 AFP】国際ウエイトリフティング連盟(IWF)の不正疑惑を調べてきた独立調査委員会は4日、同連盟において大規模な汚職や数十件に及ぶドーピングの隠蔽(いんぺい)があったと報告書で明らかにした。

 調査チームを主導しているカナダ人弁護士のリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏は、IWFに関する疑惑を調べた結果、タマス・アヤン(Tamas Ajan)前会長の下で巨額の使途不明金があったことや、ドーピング検査で40件の違反がもみ消されていたことが判明したと述べた。

 報告書では、アヤン前会長による「独裁的で権威主義」の指導スタイルが、連盟の「機能不全で無力」な管理体制をもたらしたと批判されていた。ハンガリー出身の前会長が「金銭による専制」で支配した数十年に及ぶ任期中には、ドーピング違反の罰金を直接横領していたり、組織の金庫から現在も使途不明となっている多額の資金が定期的に引き出されていたりしたという。

 報告書のまとめでは、「必要経費として集金または引き出された金額が、どれほどになるか結論を出すのは完全に不可能である」とされており、現在も合計1040万ドル(約11億3000万円)の行方が分からなくなっていると報告された。

 2015年にロシアの組織的なドーピングスキャンダルを暴いたマクラーレン氏は、ドーピング検査において40件の陽性結果がIWFの記録に隠されていたことも今回の調査で判明したと明かし、「これには、検体を処理されなかった金メダリストや銀メダリストも含まれている」と述べた。

 さらには「詳しい調査のため、この情報は世界反ドーピング機関(WADA)に伝えられた」と話し、重量挙げ界には「ドーピングの文化」が存在していたと付け加えた。

 報告書では金銭やドーピングに関する不正のほかにも、IWFでは組織の人事プロセスでも汚職があったことを突き止めたとされており、「最近の二つの選挙では、会長とシニアレベルの理事に関して票の買収がはびこっていた」と述べられていた。

 マクラーレン氏の調査チームによる今回の結果を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は「深く憂慮している」と述べ、「IOCは引き続き、組織のガバナンスと運営を根本的に改革するための、IWFと会長代行の努力を支援していく」との方針を示した。

 一方、米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は、今回のスキャンダルについて、アヤン前会長が理事を務めてきたWADAの構造的な弱点を強調していると指摘し、「WADAにおいて本格的な改革の時が到来した。その改革とは、鶏小屋の監視からキツネどもを完全に一掃するものだ」と訴えた。(c)AFP