【6月4日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)、ニューオーリンズ・セインツ(New Orleans Saints)のQBドリュー・ブリーズ(Drew Brees)は3日、黒人男性が警察の拘束下で死亡した事件を受け再びNFLで膝つき抗議が起きたとしても、国旗の「侮辱」に当たるとして支持しないと語った。

 黒人男性が警官に首を膝で押さえつけられて死亡した事件と人種差別への抗議デモが全米で広がる中、多くのアスリートが2016年に国歌の演奏中に片膝をついて論争に火をつけた元NFL選手コリン・キャパニック(Colin Kaepernick)への支持を表明している。

 サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)の元スター選手で、人種的不公正への関心を集めることを目的に国歌演奏での起立を拒んだキャパニックは、抗議行動がきっかけでNFLから事実上追放されている。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は当時、キャパニックをはじめ国歌演奏で膝をつく選手は「くそ野郎」で、リーグから解雇されるべきだと批判した。

 NFLでの膝つき抗議は下火になっているものの、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で非武装のアフリカ系米国人男性が死亡した前週の事件をきっかけに抗議運動が起きていることを受け、スポーツ選手による活動への参加が再び話題となっている。

 そうした中、NFLの新シーズンではこれまで以上に多くの選手が「膝つき」の行動に出るのではないかとの臆測が広まっているが、ブリーズは米Yahoo!スポーツ(Yahoo! Sports)に対し、膝つき抗議に断固として反対する姿勢を貫くと話した。

 抗議の可能性について問われたブリーズは、「私は米国旗や自分たちの国を侮辱する人には決して賛成しない」「米国旗を見ると2人の祖父のことを思い出す。第2次世界大戦(World War II)中に1人は軍隊で、もう1人は海兵隊でこの国のために戦った」と答えた。

「今私たちの国はすべて正しいのか? いや、そうではない。まだ進むべき長い道のりがある」「だが私は、起立して胸に手を当てて国旗に敬意を表すことこそ、団結を示すと思う」

 ブリーズのこの発言はNFLのみならず他競技のアスリートからも激しい反発を招いており、多くの選手がキャパニックの抗議活動の本質を誤解していると批判した。

 米プロバスケットボール(NBA)のスーパースター、レブロン・ジェームズ(LeBron James)はツイッター(Twitter)に「おい!! キャップ(キャパニック)が片膝をついた理由を全く理解していないだろう?? 国旗や軍人に対する侮辱とは何の関係もない」と投稿している。

 また、ニューイングランド・ペイトリオッツ(New England Patriots)の双子の兄弟、デビン・マコーティー(Devin McCourty)とジェイソン・マコーティー(Jason McCourty)は、ブリーズのコメントは「恥」だと非難した。

 さらにグリーンベイ・パッカーズ(Green Bay Packers)のQBアーロン・ロジャース(Aaron Rodgers)は、ブリーズを名指ししなかったものの、インスタグラム(Instagram)に「絶対に国歌や国旗の問題ではない。今も昔も」と断じた。

 ブリーズはチームメートからも批判されており、セインツのWRマイケル・トーマス(Michael Thomas)は、「彼は何も分かっていない」「あなたや他の誰かが同意するかなんて、知ったこっちゃない。それでどうだ」とツイートしている。(c)AFP/Rob Woollard