【6月5日 AFP】米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)での黒人男性の死から、ニューヨークのセントラルパーク(Central Park)での人種差別的な出来事に至るまで、携帯電話のカメラが人種差別に対抗する武器として使われることが多くなっている。

 スマートフォンで撮影した2本の動画がこのほど、ソーシャルメディアから主流メディアへと広がった。そこで浮き彫りになっているのは、これまでは注目されずに葬り去られていたであろう出来事が、今では居合わせた人々によって頻繁に撮影されるようになったということだ。

 先月25日、ミネアポリスの白人警官が黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんの首を約9分間にわたり膝で押さえつけ、フロイドさんが息ができないとあえぐ様子を捉えたのは、一般の人だった。

 フロイドさんは動かなくなり、後に病院で死亡が宣告された。4人の警察官が免職となり訴追されたが、米国内外で人種差別と警察の暴行に抗議するデモが巻き起こった。

 アメリカン大学(American University)の反人種差別研究センターのイブラム・ケンディ(Ibram Kendi)センター長は、独立系メディアの「デモクラシー・ナウ!(Democracy Now!)」とのインタビューで、「もし動画がなかったら、これほど早く警察官が解雇されただろうか」「警察はこの一部始終を見ていた人たち、警察官らにやめてくれと頼んでいた人たちが言うことを、信じただろうか」と問いを投げ掛けた。

 もう一つの出来事では、セントラルパークの雑木林で犬を散歩させていた白人女性が、犬をリードでつなぐよう頼んだ野鳥観察者の黒人男性クリスチャン・クーパー(Christian Cooper)さんを不当に通報した。

 女性がクーパーさんに「アフリカ系米国人男性が私の命を危険にさらしていると通報してやる」と言って緊急通報番号911に電話する様子を撮影したクーパーさんの動画は、ツイッター(Twitter)で4300万回以上、再生された。