【6月3日 AFP】英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は2日、中国政府が香港に「国家安全法」を導入した場合、香港住民数百万人に英国のパスポートを発給する方針を示した。

 ジョンソン氏は英紙タイムズ(Times)と香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)への寄稿で、「香港の多くの人々が、自分たちの生き方が脅かされていると感じている」「もしも中国がこの恐怖を正当化するのであれば、英国は良心に照らして、ただ肩をすくめて立ち去るわけにはいかない。代わりにわれわれは自分たちの義務を引き受け、別の方法を提示する」と述べた。

 ジョンソン氏によると現在、香港住民の約35万人が英国にビザ(査証)なしで入国し最長6か月まで滞在できる英国海外市民パスポートを持っているが、さらに250万人にこのパスポートを申請する資格を付与することを検討しているという。

 ジョンソン氏は「もしも中国が国家安全法を導入するのであれば、英国政府は移民規則を改定し、香港でこれらのパスポートを持つ全員に更新可能な12か月間の英国内の滞在を許可し、就労権その他の移民権を付与する。これによって市民権獲得への道も開かれ得る」と記した。

 また、国家安全法は「香港の自由を奪い、香港の自治を劇的に侵食する」ものだと批判。導入されれば「英国は香港の人々との深い歴史と友情の絆を守るしかない」とも書いている。

 他国と足並みをそろえて中国政府の決定を非難している英政府は、英国海外市民パスポート保有者の在留権を拡大する方針をすでに発表している。だが、ジョンソン氏個人の方針表明は、さらにかなりの圧力となりそうだ。

 さらにジョンソン氏は、英国が香港の民主派デモを組織しているという主張はまったくの「うそ」だと明言し、「英国はただ『一国二制度』の下での香港の繁栄を願っている」「私は中国もそう願っていることを期待している。その実現に向けて共に取り組みたい」と述べた。(c)AFP